「でもな、相手チームに8回表で1点入れさせてしまったんや。
1点入れさしたからには、2点以上取り返さないと勝てない、やろ?」
「そうだよな、うん」
重要なのは、ここからだ。
俺の微妙な記憶力からすると、攻める時に応援ってするもんだから、
後攻である俺達の学校の応援団は準備をし始めたに違いない。
しかし、邪魔をされた‥‥。
という8回裏。
大地は意気揚々と口を開いた。
「でもな!マジで凄かった、アレは!
調度1番の先輩から始まったんやけどな、三振でアウトで。
ヤバイ!思たんやけど、2番の先輩が2ベースヒットしたんよ!」
1番目の先輩はアウトだったけど、2番目の先輩は2ベースヒット‥‥
「でな、次の先輩も1塁に出たんや!
これで、オレ達のチームは1塁と3塁に走者が出たわけで、次に来るのは主将やって、ヒットでも打って二人を入らせれば勝利!‥‥‥やったんやけど」
いきなり黙った大地に、俺は急かすように顔を覗き込んだ。
ようやくわかりかけてきたんだ!
妨害したつもりじゃないっていう、高杉の言葉が!!
その後の大地の言葉は、やっぱり予想通りだった。
「特大ホームランやで!3ランホームランを打って、俺達は勝ったんや!」
「勝利したのか」
「そうや!オレ、あの時の事は忘れられん!トランペットの音が鳴り響いて、観客席からはスゴイ応援や!」
