「‥‥‥」 真白は黙ったままだった。 それは、わからない、という事だろうか。 ここらへん一帯の時間が止まったみたいに、見事に誰も動かなかった。 皆が先輩の悲痛な背中を眺めていた。 俺から見える範囲では、今だに驚いたままの人もいれば哀れみの目を向ける人もいる。 俺には、わかる。 拳をにぎりしめ、重々しい空気を自分から切り開く。 一歩歩きだし、先輩の顔をじっと見た。 「俺も、今まで自分の声を聞いてもらえないことがありました。 あの時の孤独感は、一生忘れません」