バンッ!! すさまじい音がして、先輩の大きな拳が教室のドアを殴っていた。 教室と廊下に居た全員が、こっちを驚きの表情で見ている。 俺は、現部長‥高杉が妨害なんて事をしたのだと知って、なんだか悲しかった。 「今は人数が少ないとは言え、金管が何個も重なれば結構な音になるさ。 誰も俺のダミ声なんか聞かずに、吹奏楽に合わせて声援してた」 先輩の声が、苦痛に弱々しくなっていく。 「渡辺、お前にわかるか!? 心からの応援が、掻き消される痛みが!! 俺はもう、あんな思いは二度としたくない!」