真白もその試合に備えて練習をしてきたし、俺も一度は応援してみたいと思う。
だから俺の仕事は、部員を集めることに決定した。
次の日の休み時間。
俺と真白は3-Bと書かれた教室の前に立っていた。
しばらくして、やっぱり大柄な男の人が出て来た。
背は真白と同じくらいだけど、体型がでかい。
俺の二倍位ありそうだ。いや、ある。
「お久しぶりです。槙村先輩」
「何用だ、渡辺」
槙村と呼ばれた先輩は、でかい図体で3-Bのドアを乗っ取ると、テノールの声を腹から出した。
それは俺の頭に気持ち良く響いた。
何奴だ、槙村。
「そろそろ部活に出て来てもらえませんか。甲子園だって迫ってきてますし」
「部員が足りないと言ってるだろう」
「だから新入部員も集めてきました。お願いです」
隣の俺をチロッと見た先輩は、あざけわらうかのような表情をした後、
「どうせ吹奏楽に掻き消されんだ。一人増えたとこでどうしようもないね」
と言った。
