【完】愛しい君は



全部、全部、全部、優太の為。

なのに、デート?なんて

そんなこと平気で言えるくらい

優太にとってあたしの存在は

そんなに軽いものだったんだね。

気持ち伝える前に玉砕なんて、

ほんと、笑える。

笑えるはずなのに

なぜか涙が溢れそうで、

我慢すると胸が一層、苦しくなった。


「デートじゃない。」


振り絞って言った言葉。

もう涙はとまらなかった。

急に泣き出すあたしにオロオロする優太。


「美穂!?」


あたしを呼ぶ優しい声が

あたしに触れるその優しい手が

言葉じゃ言い表せないくらい

大好きで仕方ないの。