「・・・」
「・・・あの、すみません。
勝手にこんなところ入って」
「お前新入生か?」
「はい」
「屋上は立ち入り禁止なんだけどな」
「すいません・・・でも体が勝手に動いたっていうか、いつの間にか屋上に来てて・・・。
それでこの景色を見てたらそんなこと忘れてて・・・」
「まぁいいか!他の先生に見つからないようにな。
俺もたまにここに来るんだ。
だからこれは俺とお前の秘密だ!」
「はい」
「高校生活は泣いても笑っても3年間だ。
だったら精一杯楽しめ!
そして数学も頑張れ」
「あはは★
数学の先生なんですか?」
「そうだ!」
「はい!分かりました。
数学苦手だけど一生懸命頑張ります」
「そっか!じゃあ誓いの握手だ」
「はい」
「そういえばお前の名前は?」
「柳瀬です!柳瀬美穂」
「柳瀬か!よしっ覚えた」
「先生はなんて名前なんですか?」
「田中恵介[たなかけいすけ]だ」
「恵ちゃんか!
いい名前ですね」
「コラッ!先生を付けろ」
「はーい。恵ちゃん先生」


これが私と先生の出会いだった。
先生との出会いこそが平凡に過ぎていくはずだった私の高校生活が大きく動き始めた瞬間だった。