「せ、んせ…」
私はボロボロと涙が零れるのを感じた。私がずっと待ち続けていた人がこちらに歩いてくる。
だが無情にも先生は私に気づかないのか私の横を静かに通り過ぎていった。私は先生を追いかけ腕を掴んだ。
「先生、五十嵐先生…!」
いきなり腕を掴まれ心底驚いている様子の先生だったがわずかに目をほそめ私のことをじっと見る。
「先生、私有明中で卓球部だった深井多華子です!先生覚えて、ますか?」
そう言うと怪訝そうな顔をしていた先生は表情を柔らかくし、
「おお、深井か!あんまり綺麗になってたからわからなかったよ」
にっこり笑う先生につられ私も笑顔を見せる。
やっと、会えた。
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