『今どこですか!?無事なんですか!?』
五月女に電話をかけるなり、耳をつんざくような騒音が受話器から飛び出した。
明衣は電話が静かになったのを確認してから再び耳元に戻し、明衣たちの現在地を告げてから溜息混じりに話す。
「何とも無いわよ。つーか、あたしこの格好じゃ街歩けないの。逃げてる段階でかなり目立ってたし、着替え持ってきてよ」
車ならすぐでしょ、と明衣は吐き捨てるように言う。五月女は唸った。
『それは構わないけど…、そこちょっと遠くない?あ……待って。車運転できる人居ないよ』
「は?だって………」
『駅までは龍之介さんが運転してくれたんだもん。俺達じゃ車乗れないし、』
「え、じゃあ……」
『タクシー拾って来るか、その格好で着替え買いに行くか……どっちにしろ恥ずかしいね』
電話の向こうで巡の笑い声が聞こえた。あいつマジ覚えてろよ、と頭の隅で考えながら、明衣は顔を蒼白にする。
「ま、マジ………?」
「つか、ドレス返しに行かなきゃだな」
冷静な楡の言葉が、現実を重く感じさせた。



