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結婚式当日、真幸はauc姉のウェディングドレス姿を見て、顔を曇らせていた。

早智も、自分の晴れ姿を見た弟のリアクションに首を傾げる。


「真幸、私、似合ってない?」

「そういうわけじゃないよ。似合ってる」


ただ、相手が違うだけ。

真幸は「ちょっと用事」とだけ告げて、控え室を出た。


式場であるホテルの外には、auc一行が場違いな自分達に顔をしかめながら集まっていた。

豪華な作りをした車や、そこから降りてくる人々は絵に描いたような金持ちばかりである。

心なしか、自分達に目線がちらちらと向けられている気がした。


「いやぁ、ガチで場違いッスね……。テレビで見たことあるようなセレブばっかッスよ」

「コスプレ部に頼んで、それっぽい格好してきたら良かったかな…」


巡の言葉に、五月女が頭を掻いた。

その時、ホテルから真幸が駆けてくる。


「ごめん、お待たせ」


スーツに身を包んだ真幸に、明衣は吹き出した。


「ぶふっ!パーティー仕様って奴?」

「ちょっ、笑わないで下さい!」


真幸は顔を真っ赤にして怒鳴った。