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帰宅した明衣は、壁に掛けられたカレンダーの日付に、一際目立つ赤い丸印を見付けて、部屋に行こうと踏み出していた足を止めた。
特別に何かがあったような気はしないのだが、マジックで大きく付けられたその印は、遠目からでもかなりの存在感がある。
(……何の日だっけ)
明衣は小さく首を傾げ、いつものように帰りが遅い母に代わって家事をしている姉・麻衣の方に顔を向けた。
「あの赤いマル何?何かあったっけ、あの日」
麻依はふと顔を上げ、明衣を見返す。
そして同じようにカレンダーに目をやると、「ああ」と声を発した。
「あれね、結婚記念日なの。お父さんとお母さんの」
「えぇっ」
まさかのジューンブライドか、と明衣は目を丸くする。



