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その頃、aucの部室では、楡の襟を掴んで物凄い形相をする明衣と、それを止めようとあたふたする五月女、対教師暴力だと騒ぐ日野、「痺れるッス!」と謎の言葉を上げる巡という、よくわからない光景が広がっていた。

ソファーに腰掛けたまま襟を掴まれている楡は、特にそれを気にする素振りも見せずに、「なに」と明衣を見返した。

明衣はムッと眉を寄せると、語尾を荒げて言った。


「だぁから!何なのよ部活動仕分けって!初耳だし、去年そんなのやってないでしょ!?」

「…ちょ、落ち着けって」


胸ぐらを掴む明衣をそのままに、楡は項の辺りを掻きながら、ポツリポツリと小さく話し始めた。


「部活動仕分けは、新生徒会が始めた“アンケボックス”とやらに、『活動内容が不明で、何をしているかわからない部活を廃止して、他の部活に部室や費用を回してほしい』という要望が多数寄せられたらしくてな、それでいらない部活は廃部か縮小しようってことで行われる行事だ」


そこで言葉を切り、楡はふ、と息を吐いた。「肺活量少な!」という明衣の突っ込みをスルーし、楡は再び口を開いた。


「ま、要は仕分け人との口論だな。生徒達から支持を得られれば、廃部にならなくて済むし」

「口論……口喧嘩って事ッスね」

「レッカは負けるわ…」

「ちょ、明衣先輩!どーゆー意味ッスか!」


巡は口を尖らせた。