“理科部”
この部活は、時折aucに依頼に来ていた、それなりに仲が良い常連客だった。
毎回依頼内容は同じで、「新薬の服用」だった。
理科部は何故かいつも怪しげな薬品を作っており、それが完成するたびにaucに試飲を頼むということを繰り返していた。
たいてい飲むのは五月女で、酷い薬では精神年齢だけが退行したり、一時的に跳躍力が高まって歩いただけで天井を破壊したり、何かとお騒がせだった。
そんな部活にお世話になろうとしているのだ、きっとろくな考えではないだろう。
「あ、aucじゃん!何、わざわざ試飲に来てくれたの?」
出迎えてくれたのは、理科部部長の緑川絵心(みどりかわ えこ)。ニックネームはエコだ。
五月女は「違うってば」と否定してから、事情を説明し、尋ねた。
「でさ、人の癖とかを直せる薬とかってある?」
「んな都合の良いもんあるわきゃないでしょーよ!」
すかさず明衣がツッコむが、
「あるわよ」
「あんのかよ!」
エコが何でもないことのように答えたので、再びツッコむ羽目になった。



