五月女は思い立ったが吉日、と謎の言葉を残し、戸惑う日野の腕を引いて部室を出る。
その背を追うようにして、明衣と巡は早足で駆けていく。
「癖がどれくらい手強いかって…どうやって調べんのよ?」
眉を寄せ、不満そうに尋ねる明衣に、五月女は得意気にウインクをする。
「うちの学校には指導の対象になりそうな奴なんていっぱい居るでしょっ♪」
「いちいちカッコ付けてんじゃねーよリア充!」
どこかイラッとした明衣は五月女に目潰しを繰り出す。五月女は悲痛な叫びを上げながら目を押さえるが、心配そうな表情をした日野に慰められ、どうにか立ち直る。
そして辿り着いたとある教室のドアを開け、まだ涙を浮かべる五月女は室内の中心部に集まっていた人々を指差した。
「コスプレ部の皆さんだ!誰一人制服を着てない=指導の対象…」
「君たち!」
五月女が言い終わる前に、日野は彼らにツカツカと大股で歩み寄っていた。そして、訝しげに顔を上げたコスプレ部員に向かって、
「その格好は何だ!部活中は制服・または部活で許可されているユニフォーム等や学校指定ジャージと校則で決まっているだろうが!」
その様子を見ていた明衣と巡の二人は、
「重症だ…」
と呟いた。



