ダンス部は助っ人に逸識を招き入れ、紗佳のパートを練習風景を撮影したビデオによって、徹底的に鍛え上げた。
逸識は途中で挫けそうになっていたが、明衣をはじめ、日野や巡に嫌みを言われながらも振りを覚えていった。
ダンス部員は、飲み込みが早く練習熱心な逸識に驚いている。
「生徒会長って、もっとチャラいと思ってました」
「つか、ダンスうま。何で生徒会なんかやってんのよー」
勧誘すれば良かった、とちらほらと部員の嘆く声がする。それを笑って受け流しながら、逸識は再びテレビ画面と向き合った。
(俺が出ることで、何かゴタゴタしなきゃ良いんだけどな)
アリスは紗佳にはきちんと話をしたと言っていたが、もし逸識が紗佳の立場だったら、この状況は素直に喜べるものとは言えなかった。
(替わりが利くなら、大会に出たいなんて思わない)
逸識の心は複雑だった。



