巡は明衣の視線に気付いたのか、口を尖らせて弁解する。
「だって、爪とかスカートとか……いちいちウザイんスもん…」
「や、それ8割お前が悪いよ!」
明衣は久々にツッコミスキルを発揮する。
巡は言い返すことが出来ないのか、ぐっと押し黙り、拗ねたように俯いてしまう。
日野はそんな巡をちらりと見て、気まずそうに言った。
「僕の悪い癖なのですが……一度目についてしまうと、それが解消されるまで気が済まないし、他のことが見えなくなってしまうんです。それが元で生徒にも敬遠されがちで…」
「確かに……アンタ見た目は茶髪だし軽そうだけど、その性格はめんどくさいもん」
「……やっぱりそうですよね」
落ち込んだようにうなだれ、溜息を吐く日野に、五月女が頭に電球を浮かべ、「そーだ!」と人差し指を立てた。
表現古いよ、とツッコミながら、明衣は「何?」と彼の方に振り向く。
五月女は名案だとばかりに目を光らせ、言った。
「日野くんのその癖を、俺達でなんとかしてあげようよ!」



