声をかけずに少し離れて見ていたら…雅ちゃんが小さな箱を健ちゃんに差し出した。


あれは…バレンタインチョコ…?


少し遠くて会話までは聞こえないけど。


健ちゃんは…笑顔で…受け取った…。



――ズキン…ッ



…何で胸が痛むんだろう。


きっと、あれは友達だから受け取ったんだ、普通だよって…思うのに。


今日…受験だったんだよね?


志望校は男子校だったはず。


雅ちゃんと、どうしてわざわざ一緒に居るんだろう…。


偶然だよね?


たまたま会っただけだよね?


…大人気ないよ、私…!