そっとポケットから携帯を取り出し、
手渡す私。



『とりあえず、家にかけるね。』



そう言ってあなたは、私の携帯から自宅電話を検索し、コールを鳴らす。



静かな車内。



いつの間にか、タムロしていた学生たちは消えていた。



プルルル…と繋がっている音が受話器からもれていて、心臓がバクバクと暴れ出す。



やがてコールの音は消え、母親が電話に出た。



『あ、もしもし。夜分遅くに申し訳ありません。僕はリサさんとお付き合いさせていただいている大崎シュウと言います。少しだけでいいんで、僕たちの話を聞いていただけませんか?できれば、お父さんも。』



淡々と要件を伝える声は、冷静で落ち着いていた。



改めて歳の差を思い知る。