ダサい恋人




「大丈夫か?」



「佐伯…尚……?」


顔を出したのは、メガネを外した佐伯尚だった。


なんでここに…?


「痛いか…?」



佐伯はなんのためらいもなく、頬に触れる。


「いっ―――。」



ヒリヒリする……痛い。


佐伯が頬に触れた手をあたしの頭の上に乗せた。


「ごめんな。」


「えっ?何が…?」



「早く助けてやれなくて。」


頭を撫でられて、さっきまでの緊張が解ける…。


「泣いていいぞ。」


「うぇっ…?」


半ば半泣き状態のあたしに佐伯が呟く。


「よく頑張ったな。」


佐伯が初めて自然に笑ったところを見た。


…なぜかそれを見たら…涙が流れた。


そして、それ以上涙が止まることはなくて、ただ溢れていくばかりだった。