美奈に言われ、聖の心の底に閉まってあったもう一つの気持ちが出てくる。


今度は、少し罰が悪そうな顔で、ボソボソと言い返す聖。






「…そりゃー…浮気とまではいってなかったかもしんねぇけどよぉ…。でも!酒飲んで、俺の愚痴をその日会った男に言ってたんだぜ!?そんで、あたしのこと心配してないとか言いだしやがって…」






顔を背ける聖。


美奈は、はあ。と小さく息をついて、そんな聖を見つめる。






「…うん。今回は奈々が考えなしだったかもね。奈々にちゃんと言うよ。でも…どこにいるかわかんないんじゃ…」

「学校来てっかなぁ?」






隣で、頭の後ろで手を組んで歩きながら裕毅がボソッと言った。


それを聞いて、美奈の顔がパッと明るくなる。







「あぁ!来てるかも!奈々は学校好きだし!」

「じゃー行くか。」






裕毅も、やれやれ、と再び学校へ向けて歩き出す。


黙って立ち止まっている聖を、美奈が振り返る。






「そんな浮かない顔してないで。行くよ?」

「…あぁ」