「逆ナンして?」

「逆ナンじゃないよ!」





またムキになって言い返す奈々。


逆ナンじゃねぇって…

自分から男誘っといてよ。







「…逆ナンじゃん。んで…男連れまわして自分は酒飲んで彼氏の愚痴っすか。」

「なッ…」






聖の言い方に、ムッとする奈々。


聖は、そんなことお構い無しに、腰に手を当てながら、クルッと奈々から背を向けて空を見上げる。






「いいよなぁー。お前みたいな可愛い女はすぐに男ついてくっから」

「…あの人達の悪口言わないでッ!」






聖は、ゆっくり振り返って、また冷たい視線を奈々へ送る。






「別にあいつらの悪口なんて言ってねぇ。そー言ってるだけだろ?」

「すぐ男ついてくるって…」

「今までもそーじゃん」

「今までのは違うでしょッ?!それに…あの人達は友達だもん!!!」




両手を握りしめて、訴えるように身を乗り出す奈々。


聖は、露骨に眉間にシワを寄せて、奈々の顔を覗き込む。






「友達?今日会ったばっかで?ただ愚痴聞かせただけで?」

「―――ッッッ!!!もぉッ!こーきのわからずやッ!!!」





ついに、なにかが切れたように声を荒げる奈々。


聖は目を伏せながら、「へいへい」と首を縦に振る。





「…わからずやで結構」

「あ゛ー!!!怒ったらクラクラしてきた!!」





少し飲んだだけだが、酒に弱い体質だった奈々は、アルコールで頭がクラクラし、頭を抱えた。





「つーかお前…どんなけ飲んだんだよ」



「―――!!!こーきには関係ないでしょッ!」






酒の量を知らない聖は、奈々の様子を見て確かめるように問うが、奈々のイライラは収まらない。


ついに聖の中でも、なにかが切れた。