次第に雨は小雨に変わり、それと同時にバスが到着した。


湿った空気に吐き出されたため息のように、排気ガスが虚しく聞こえた。


傘を畳んで、いつもの席に座った。



雨水が滴るサイドミラーに映る花枝さんの横顔はいつも通り、やっぱり格好良い。


僕は、花枝さんが操るエンジンによって揺れる車体に安堵をし瞼を閉じた。


最近寝不足気味な為に一瞬にして睡魔に呑まれていった。




雨の時しか聞けない人が歩くキュッキュッといった音。
雨の日はバスが滑りやすくて、よく転びそうになるんだよね…。


虚ろな意識の中そんなことを呟いていた。

時折大きく揺れて、頭を打ったりして。