『貴女は、この家の娘じゃない…私の…   』


あぁ、またこの夢…
いつからだろう…ここのところ毎日この夢を見る。

でも、毎日ここで夢から覚める…

『私の…』からあとの言葉が今日も聞けないまま私は現実へと引きずられていく…


シャッ…
私の部屋のカーテンがそっと開かれる。
眩しいと思いながらも、なお私は眠り続けていた…


「お嬢様、裕姫お嬢様…御起床のおじかんです。速く起きてくださらないとせっかくのお食事が冷めてしまいますよ?」


使用人の一人が私に優しく声をかける…

ここは世界でも名の通る一流財閥【雪城寺財閥(ゆきでらざいばつ)】の屋敷のひとつ
私は雪城寺財閥の一人娘である【雪城寺 裕姫(ゆきでらゆうき)】…


でも、おかしなコトに昔の記憶が一切ない。


ガバッ
効果音をつけるならこんな音であろう勢いで私は起きる


「す、すぐに用意しますっ」

そういいながら私は急いでパジャマを脱ぎ制服に身を包む

「慌てて転ばないでくださいね?…さぁ、お嬢様速くこちらにお座りになってください。」


私の専属メイドである【宇都宮 秋】さんが椅子を軽く叩きながら座るように促す。


「秋さんっ今日もよろしくお願いします!」


秋さんは髪をセットするのがとても上手い…
だから私はいつも秋さんに髪のセットを頼む。