『わ、私を…人間にしてください!!』


『………え?』



意味が分からなかった。
人間にしてください?
人間なんて、自分勝手だし人魚に比べて長く生きられない。
何故人間になりたいのか、僕には理解出来なかった。



『実は、先日の嵐があった夜にある一人の人間を助けたのです。』


君は俯きながら、小さな声で喋りだした。
まるでその出来事を思い出すように。



『私が助けた人間は王子様でした、彼は私が助けたなんて知らないです。でも、それから王子様の事が忘れられなくて…』



『だから人間になって逢いたい…そうゆうこと?』



『はい…人間になることのリスクは知っています。それでも逢いたい…!!お願いします!!』



君は必死だった。
きっとたくさん悩んだんだろう。
人魚が人間になるということは、人魚としての自分を全て捨てること。
帰る場所はなくなる。
泳ぐ術を無くす。
なにもかも、なくなる。



それでも君は、人間になりたいと言うんだね。



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