「...んで、笹野は
帰んないの?」

「えっ」


ついつい
先輩にみとれて
忘れてたけど

委員会も
終わっちゃってるし
私がここにいる
理由はない。

...けど...


「あの!先輩は
このあと...」

恐る恐る聞いてみると
先輩は「うーん」と少し考える
そぶるを見せてから

「俺はもーちょい
残るかな。」

そうして先輩は
窓の方に目を向ける。


「笹野、見てみ!」


先輩の言葉に
外をみると...。

そこには絵に書いた
ような綺麗な夕日。

思わず感嘆の声が
もれそうになるほどの
そのオレンジの光は
私たちのいる教室を
幻想的に見せていた。


「あ、あの...これ...」

「俺のお気に入り!!」


屈託のない笑顔。

あぁきっと先輩って
モテるんだろうな。
なんて頭で思いながら
先輩を見ていると

先輩の表情が
優しげなものへと
変わった。


思わず、胸が高鳴る。


「あん時も
こうだったよ」

「あん時?」

「笹野のが
ガチ寝してた時」

「ッ!!」