*東side* 俺は、図書室を出た後、しばらく図書室の前に突っ立っていた。 そして、稲実の泣き声を聴いていた。 …何分、経ったんだろう。 稲実の泣き声は、未だに泣き始めた時と変わらない。 俺は…この泣き声を聴いていないといけないんだ。 今まで… 何度、稲実を傷つけてきたんだろう。 何度、稲実に辛い思いをさせていたんだろう。 …何度、 稲実は泣きたかったんだろう。