【完】─片思い─


勉強…東のために頑張ったんだよ?

東の隣になった時のために…。

「稲実が隣で良かった!」

「…ぇ」

「稲実、頭いいし、優しいし、おもしれーし! 紗季とつき合うために、協力もしてくれたし。まじ感謝してるんだぜ?」

なんで…

「だから、稲実と友だちになれて良かった!」

なんで…

そんな言葉を言うの…?

「…あたしもだよ!」

精一杯の笑顔で言った。

そして、あたしは真っ赤な顔を隠すため、窓の方を見る。

──好き。

彼の笑顔を見ると、いつもそう思う。