「映画の感想、教えてね!」
「おう! すっげぇおもしれぇよ!」
「まだ見てないじゃん!」
「紗季と見る映画は、絶対おもしれぇよ」
東は少しテレながら、そう言った。
そのことに、胸がズキンと痛んだ。
「…そっか! ってか、ノロケいらないし!」
「わりぃわりぃ! 稲実が彼氏できたら、聞いてやっからさ!」
「そんなの聞かせないし!」
「まじか…」
それに、そんな日は来ないと思う。
だって…あたしの好きな人には…
彼女がいるし。
このキモチが届くことなんかない。
だから…君にノロケ話なんてすることはないんだよ。

