【完】─片思い─



──高校の入学式


あたしと同じ学校の人はいない。

あたしだけが、この学校へと進学した。

そんな不安があるし、元々人見知りな性格なので、しばらくは話し相手はできなかった。

だけど…。

「ねぇ、立花さん?」

「…ぇ」

「あたし、稲実 和! よろしくね!」

くじ引きで、たまたま席があたしの前になった女の子。

その子は、とびっきりの笑顔で言ったんだ。