【完】─片思い─


…こうやって、紗季といられるのも、

稲実のおかげだよなぁ…。

「ぁ、優輝、日曜日空いてる?」

「? 空いてっけど…」

「なら、映画見に行かない? 親友がくれたの!」

「ふぅん…。どれ?」

「えっとね、『ナイトスタジアム』」

「あ! それ俺も見たかったやつ!」

「ほんと?!」

「ほんとほんと! 日曜、西公園に10時でいいか?」

「うん!」

紗季は嬉しそうに微笑む。

その笑顔を見て、俺も微笑んだ。