【完】─片思い─


*紗季side*

お昼休み、あたしはいつものように優輝と食べる。

今日も、いつもの広場のベンチ。

「…なぁ、紗季。夏休みの時も言ったように…」

「ね、ねぇ! 今度の土曜日また、映画みに行かない?」

「紗季」

「…あたしじゃ、ダメなの?」

夏休み前…突然、優輝が「別れよう」って言ってきた。

理由は…なんとなくわかる。

「和は…一瀬くんとつき合ってるんだよ?!」

「…」

「『和の事は忘れられないけど、紗季が好きだ』って言ってくれたじゃん!!」

「…」

「あたし、それでもいいから! 優輝が、和を好きでもいいから!」

それでも、いいの。

優輝が…和を好きでも。

別れたくなんかない。