【完】─片思い─


「…和は、なにもわかってない!!

海の時だって、本当は」

「紗季」

紗季の言葉を遮ったのは、東だった。

「その事はいいから」

「でも!! だって、優輝は…っ」

「いいんだよっ! っていうか、喧嘩すんなよ!」

海の時…?

あの時、あたしだけが知らない、何かがあったの…?

「…和、ごめん」

「ぁ、いや…あたしこそ、ごめん。流の事は、好きだから」

「…うん」

紗季は小さく頷いて、教室を出て行った。