【完】─片思い─


翌日、あたしは五分前に着くように家を出た。

「えっと…」

駅の辺りを見回すと、流が立っているのを見つけた。

「ぁ、流!」

「おぉ!」

あたしは流の方に駆け寄った。
流はイヤホンを外し、バッグの中に入れた。

…ん?

いつも流はイヤホンなんかしてない。

「…流、いつからいたの?」

「ん? さっき」

「嘘だ。いつも、イヤホンなんかしてないじゃん!」

「…ふはっ! 本当は、30分前」

「えぇ?!」

そんな前から?!

あたしはビックリして、しばらくボーッとしていた。