「…なに、直樹」
「姉貴…母さん、のこと」
「…座んな」
直樹はベッドの近くに座った。
「母さん、会社が遠いところなんだって…」
「はぁ?」
「だから! …引っ越す、かも」
「…っ!! …直樹、あんた母さんについて行く気?」
「姉貴は行かねぇの?!」
「もう高一だし。一人暮らしぐらいできるよ。…中学三年生一人ぐらい、軽いもんだよ」
「…」
「あたしはついて行かない。ここを、離れたくない」
「…俺は」
「あんたも考えときな。あたしは…直樹がいてもいいから」
直樹は小さく頷いて、部屋を出て行った。
あたしはケータイをチェックして、眠りについた。

