【完】─片思い─


「ば、バイトじゃないよね、それ?!」

「新しい仕事が決まったの。三日間…出張が決まってね」

「…」

母が嘘ついてるのは、わかった。

「どんな仕事を始めたの…?」

「…」

「母さん!!」

「…普通の、会社よ」

「…」

あたしは、何も言えなかった。

無言のまま、直樹もあたしも夕食を食べ始めた。

すぐにお風呂に入り、あたしは自分の部屋に入った。

ベッドに寝っ転がっていると、コンコン、とノックの音が聞こえた。

「どーぞ」

誰がしたかぐらいは、すぐにわかった。