【完】─片思い─



『好きなの…っ!』


今思うと、大祐の言葉を思い出す。

告白した後、俺は他の女を好きになろうとして、頑張った。

「紗季って、めっちゃ可愛いし、いい子なんだ〜!」

高校に入って、同じクラスになったと思ったら、「さき」って子の自慢話。

正直、呆れ気味だった。

「ねぇ、東は、好きな子できた?」

そんなこと聞かれるから、思わず…

「お前の親友」

なんて、嘘をついたんだ。

それから、稲実は頑張って俺と「さき」って子をくっつけようとした。

三浦 紗季、って名前を覚えるのだって時間がかかった。