【完】─片思い─


「へぇ…。お前、興味なさそうにしてたのに」

「つい最近な」

「…まっ、応援してるよ」

「おう」

チャイムも鳴ったので、教室に戻る事にした。

廊下を歩いてると、背中に誰かがぶつかってきた。

「ぁ、わり。って、稲実?」

「ん…? ぁ、東!」

一瞬忘れられてたよな、俺。

「大丈夫か?」

「うん! 全然平気! じゃね!」

稲実は駆け足ですぐに、どっか行ってしまった。

「名前、覚えられてるんじゃん」

「思い出された、の方が正しいけどな」

「弱気だなー…」

「ほっとけ」

つき合える、なんて思ってない。

ただ、好きでいたいんだ。

そりゃ、キモチが伝わったら嬉しいけどな。