【完】─片思い─


「ぇっと…」

「ぁ、稲実。稲実 和!」

「…稲実は、人待ち?」

「うん! ここの、クソじじいが、あたしの親友連れ去ってね」

「ぶっ」

クソじじい…って、おい。

なんか、ギャップあるんだけど。

「笑わないでよー! だって、なんか…豚みたいじゃない?」

「ふははっ! 確かに!」

「でしょー!」

稲実は、楽しそうに笑ってる。

その笑顔は、前友だちと見た笑顔よりも、ずっと可愛かった。

可愛い──初めて、心から思ったんだ。