【完】─片思い─


「「ぷっ」」

あたしと稲実ちゃんは同時に吹き出した。

「あっはははは! さ、紗季ちゃん、なんて言ったのっ?!」

お腹を抱えて笑ってる稲実ちゃん。

そんな稲実ちゃんを見るのは初めてで、すごい、嬉しかった。

「あたし、こんな笑ったの、めちゃ久しぶりだよっ!」

まだ、稲実ちゃん笑ってるし…。

今まで、笑えなかった分を、今、笑っているようだった。

「ねぇ、紗季ちゃん」

「ん?」

「嬉しかったよ」

「…ぇ」

突然の言葉に、驚きを隠せなかった。