私が手を伸ばすと、子犬はペロッと手を舐めた。


こんな真っ白い毛をしているんだから、誰かの飼い犬だろう。

脱走でもしたのかな。









『時は満ちたっス』









ビックリしてブランコから転げ落ちそうになった。



頭に響くような、澄んだ男の子の綺麗な声が聞こえた。

目の前にいる子犬から。



目を見開いて子犬を凝視していると、突風が吹き荒れた。


子犬に気をとられていた私は、慌ててブランコから立ち上がった。


公園の砂埃が舞い、私の体を微かに打つ。

目に砂が入らないよう気を付けながら辺りを見渡して、そしてビックリ。



「な、何よコレ…」




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