弘雄って私の名字じゃん。

て事は、やっぱりこの小猿は



「え、エンジ…?」

『姉ちゃんどうした?』



首を傾げ、私の肩に飛び乗ったエンジ。

そのまま頬に擦り寄ってきた。



体の力が抜けて、立っているのも厳しくなった私はベッドにへたりこんだ。

その横には真白が座り、私の手を握る。



「不安なのは分かるっス。でも…俺達と一緒に戦って欲しい」

『姉ちゃんが動かなきゃこの世界は──…姉ちゃんは鬼に…!』



そう言われたても、ちっとも実感がわいてこない。


てか、今姉ちゃんとか出てこなかったか?

何で私がここで登場するの?



「鬼の狙いは世界制服と…桃太郎である桃華よ」



素朴な疑問を抱いた事に気付いたお母さんは、そう答えてくれた。


でもなぜ私が狙われるんでしょうか。

疑問は解決されませんけど。



「鬼はかなりの女好きなんスよ」

『鬼は昔から美しい女性をさらうって決まってるんだぜ』

「鬼にさらわれないよう、娘に桃太郎の名前を付けたのが始まりなのよ」



なんじゃそりゃ。

全て初耳なんですけど。


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