ふと気が付くと、体が雲のような柔らかいモノに包まれていた。

微かに瞼を上げると、そこには小猿と見た事の無い、端正な顔つきの青年がいた。



そしてちょっと前に起きた出来事を思い出し、現実だったんだと確信する。

現実から逃げたくて、再び瞼を閉じて寝たフリをした。


幸いな事に、二人…いや、一人と一匹は私が起きた事に気付いていない。

そのまま二人の会話に耳を澄ました。




「起きるっスよ〜」

『しっ、静かに!』

「早くこの姿を見てもらいたいっスよ!」

『姉ちゃんは疲れてんだよ!』

「でもー…」



そこで私は二人分の視線を痛い程感じた。


見られてる。

寝たフリしてるのがばれたか?



「…綺麗っスね」

『まぁ、俺の姉ちゃんだしね』

「…」



今度は体全体に重みを感じた。


ビックリして目を開くと、仰向けになっていた私の身体に覆い被さっている青年の姿が飛び込んできた。



…え、ちょ、これなに?!



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