少ししてから、袁次が風呂場から戻ってきた。

お母さん同様で、袁次も顔に笑みを湛えている。



何がなんだか分からないけど、心の底から怒りが込み上げてきた。


私を除け者にして笑う二人に、苛立ちが募る。



「オイ袁次」

「ん?」

「説明しろや」

「ね、姉ちゃんこわっ…」



恐怖に切り替わった袁次の顔を睨み付け、そしてお母さんの事も睨む。



…この場を打開する術はないものか。

この苛々を発散する術はないものか。



頭を抱えて悩む寸前に、マシロが食べた団子の残りを握っていたのを思い出した。

目の前には、恐怖で頬をひきつらせた袁次。



よし、思い付いた。



「この残った毛だらけの団子を袁次の口に突っ込んでやる!!」

「ウゲー!!」

「そうしてほしくなかったら全てを話しなさい!」



袁次の首を腕で挟んで、そして顔に団子を突きつけた。


白い毛だらけの団子。

人間なら誰でも食べないであろう代物だ。



お母さんを見ると、また笑顔で口を開いた。



「いいんじゃない?」

「母さんのオニー!!」



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