寿麻もまた
いつもの龍に
少しホッ!っとしていた。
昨日あんな場面を見せられて
どう接していいのか
どんな顔で龍を見たらいいのか
寿麻も悩んでいた。
〜自分の気持ちに気付かれないように〜
今、龍の側に行ったら…
いつもの龍じゃなかったら…。
昨日の事を聞いてしまって…
気持ちを抑えきれずに
泣いてしまいそうだったから…
いつもの自分でいられる自信がなかった。
でも…
何も変わらない龍を見て
気持ちが抑えられる気がした。
いつもの元気な自分でいられる!
そう思った。
寿麻は冷蔵庫から水のペットボトルをとり
飲んだ後で
{喉が乾いて部屋から出てきたのね…。}
「お坊ちゃま、大丈夫ですよ。私にお任せ下さい。」
寿麻は時子の真似をしながら
おどけて見せた。
「なっ!!何なんだ、時子さんの真似をして…」
龍は少しムッっとしたが
寿麻の態度に少し嬉しかった。
「ゴメン、ゴメン…
でも似てたでしょ?
後は私がやるから
龍はソファーでいつもの小難しい本でも読んでいてください。」
そう言うと寿麻は
オーブンの様子を見ながら、付け合わせのサラダを作り始めた。
