潤は動き出した。
西城家の後継者になる為
そして、寿麻を自分の婚約者にする為に…
そんな潤の企みを知ってか知らずか…
大蔵は息子達の事を思い出していた。
又繰り返された悲劇を…
昔、龍の母親、瑠璃子さんは潤の父親、一臣と良い仲であった。
しかし…何も知らない大蔵は龍の父親、正臣の婚約者として瑠璃子を西城家に招いた。
それが悲劇の始まりだ。
一臣との事を何も知らない正臣は
一臣に…
「僕はとても幸せ者だよ、あの瑠璃子さんと婚約ができるなんて…
前からずっとステキな方だと思っていたんだ。
一臣も嬉しいだろ?
あんなに綺麗な、お義姉さんが出来るんだ。」
一臣は微笑む事しか出来なかった。
大蔵には逆らえなかったのだ…。
普通の家の子なら言える事が言えない事だった。
ましてや、結婚となると…家と家の大きな問題だからだ。
