「解った…龍がやりたい様にすればいい…それまで龍のゲームに付き合うよ…
そしたら…」


寿麻は龍の気持ちが解らなかった。
西城家の為…後継者だから…。
そう思い、龍の告白が寿麻に対しての思いだとは解らなかった。

だから、寿麻はこんな事を言ってしまった。
自分の気持ちを押し殺し…

そんな寿麻に

「そうか…それが寿麻の気持ちなんだな。
しかし、寿麻…お前は俺の婚約者だ。
潤には渡さない。潤だけはダメだ!」


「潤君は関係ないでしょ。私は誰の者でも無い!
このゲームが終われば元の平和な生活に戻るでしょ?
それまでの辛抱と思って今まで頑張って来たの…
ただ…それだけ…」


寿麻は泣く事も無く強がっていた。


別れた後に自分が壊れてしまわないように…
笑顔で別れられる様に今まで頑張ってきたから…


しかし…後ろから抱きしめられている龍の温もりに、心臓が壊れそうな位にドキドキしていた。

それが、龍に張れてしまうのでは無いかと思いながらも、離れたくはなかった。

龍も寿麻の事を離したくなかった。


龍は寿麻の
「元の生活に戻りたい…」と言う言葉が頭を巡り
何も言えず


『そんなに俺から離れたいのか?俺は……どうしたら…
今、この手を離したらお前はどこかに飛んでいきそうだ。
嫌だ、離したく無い…』


龍の抱きしめる腕は強くなった。