色×iro~素顔のままで~


「どうしたの?一ノ瀬君!?」

誰かの、興奮した声に、木田さんは気を取られて振り返った。

少し後ろにいた連が、女の子に捕まっている。

「あ」

つぶやいて、立ち止まってしまう。

「あれ、一ノ瀬くん?」

あたしもつられて立ち止まる。

「うわ。その方が全然いい」

派手目のクラスメートに、連は完全に捕まっている。

「一ノ瀬くん、だよね」

木田はあたしに確認すると、

「うわ。やっぱりかわいい」

呟いた。

ちょっとドキッとする。

かっこいい。

じゃなくて、かわいいって言った。

あたしの感覚と一緒じゃないか。