色×iro~素顔のままで~

気が付かなかったら良かった。

あたしはそっとため息をついた。

ちらりと、涼しい顔の、連を見る。

ちょっと腹が立つ。

ちょっとくらい、連も苦しませてやろうかな。

あたしを安易にフれるほど、冷酷人間には出来てないはずだから。

「困るかもね」

今、ちょっと困らせてやりたかったのに、

連は、無表情な目を、すっと目をそむけた。

どういう反応だ。

「連の一部は、間違いなくイッセーさんなんだもんね」

「ヒトを多重人格みたいに言うな」

「...好きだったのに」

「過去形なんだ」

過去形じゃないけど。

「あのね」

言って、連は吐息をつく。