「同室者だから? 綾菜、お前はバカか?」
「また、バカって言った! 言う琥珀のほうがバカなんだから」
「野郎にベタベタされて、平気でいるやつがバカでなくてなんなんだよ」
噛みつかんばかりに怒鳴られる。
友達だからといって、ここまで言われるのは心外だ。
「琥珀、興奮しないの。どうせ、綾菜ちゃんは隼人を男だと思っていないんだから」
真坂が言った瞬間、頭上でギリッと歯噛みをした音がする。
御影も怒っているが、久我もかなり機嫌を損ねているのかもしれない。
「半崎。オマエ、こいつらになにをしゃべっているんだ?」
耳元でささやく声が、とても怖い。
「なにをと言われても、特には……」
前門の虎、後門の狼。
いや、これは前門の光線ロボット、後門の魔王か。
いずれにしてもピンチなことに変わりはない。
