「久我隼人くーん。不純異性交遊で摘発しちゃうよ」
能天気な声がする。
綾菜はこわごわ閉じた目を開いた。
「純也くん、琥珀」
明るく手を振る美貌の男と、鋭い眼光を放つ男が並んで立っている。
御影と真坂の寮長コンビだ。
「寮の禁止規定に抵触するぞ」
「不純でなければ問題はない」
抱きしめられた腕に力がこめられる。
「久我さん。苦しいよ」
綾菜の力では拘束を解くことはできそうもない。
「綾菜ちゃん。それ、合意?」
真坂は、綾菜に絡みつく腕を指さした。
合意かと聞かれると、少し悩む。
「いつものことなので、慣れました。それに同室者だし」
イギリスの寮でもルームメートとは、とても仲が良かった。
多少の違和感はあるが、同じ部屋で暮らすのだから、このくらいの触れあいは、あって当然だろう。
