王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~


「……わかった。交流会ではアンタの面倒をみる」

「ありがとうっ」

 勝利の笑みを浮かべると、とたんに理佳の表情が般若に変わった。

「もう、アンタは。頼まれなくても、ちゃんと配慮するつもりでいるに決まっているじゃないか」

「あっ、そうだったの。えへへ、ごめーん」

「えへへ、じゃないって」

 頭頂部に落ちてくるいつもの手刀。

 大好きな友達にされるなら、痛くても綾菜は幸せ。つい、にっこりしてしまう。

「綾菜。交流会参加?」

 ブレザーの襟を引っぱられて、のけぞる。おしゃべりが大好きな、いつもの友人たちだ。

「じゃあさ、久我くんも参加するかな?」

「するはずがないよ。中学のときから参加したことないじゃん。孤高だもんね」

「だよね。そこがまた、いいんだけど」

 綾菜の返事を待つことなく、マシンガンのような会話が続いている。

 割りこむことを諦め、綾菜は理佳に身体を戻した。